―センター試験まで―
年が明け、センター試験が近づいてきた。
試験まで二週間を切ったあたりだったか、不眠症がさらに悪化した。寝ても1時間半ほどで目が覚め、そのまま48時間近く起きているなんてこともあった。大げさでなく、自分が最後に寝たのがいつなのか、何日の何時から起きているのかよく分からないような状態であった。
先に述べた通り8月以降、1日3時間以上の睡眠をとっていない。「自分はいつ倒れるのだろう・・」そんなことをいつも考えていた。とりあえずできそうな時は机に向かい、しんどくなったら布団に入って参考書を眺める、やはり眠れなくて机に向かう、・・・そんなことの繰り返しだった。
センター試験前日の朝、私は1~2時間ほどの睡眠をとり、前日夜から当日朝にかけては結局、一睡もできずに、つまり24時間起きっぱなしでセンター試験を迎えることとなった。
当日の深夜だったか、明け方頃だったか、雪が降り始めた。眠れないので英語、国語の予想問題集を解くと、英語がそれまでに比べパッとせず(確か150点程度)、国語も前日は180点程度取れたものが、100点ちょっとだった。問題集の手ごたえと極度の不眠症から自暴自棄になりかけながら、朝を迎えることとなった。
ー1月21日 センター試験当日ー
そうして迎えた雪の中のセンター試験。
はじめは政治経済。これが私大入試も含めた全入試における最初の試験となった。予想問題集では80点を切ることはなかったし、緊張や疲労といった要素にほとんど左右されない科目なので、比較的落ち着いて臨んだ。しかし、問題を解き始めると、どうも予想問題と雰囲気が違う。手ごたえがいま一つ。悪くはないがそれほど良くもない・・。何とも言えない後味の悪さを残しつつ、午前が終わった。
長い昼休み。とにかくセンター試験の試験間の休憩時間は長い。コンビニのおにぎりとパンを食べ終えるとやることもなくなった。不眠症の体には、時間の経過とともにミリ単位で体力も消耗していくように感じるので、「早く休憩が終わればよいのに」といったことを考えていた。時間を潰すためか、1点でも得点を拾うためか、参考書をパラパラとして過ごした。
午後の1教科目は国語。あまり全体の記憶が無いのだが、「まぁ、やりきったか」ぐらいの手ごたえだった記憶がある。漢文がやたらに簡単で「引っ掛けをことごとく、くらっているのか」と疑った。結果的には普通に正解で、単に簡単なだけであった。
最後は英語。記述はまずまずの出来で、想定していた最低限は取っただろうという印象。日頃は予想問題を本番の制限時間からマイナス5分、計75分で解いていたが、本番は慎重になり過ぎたか、時間が足りなくなった。大問3の3問は適当に埋めた(1問はあたった!)。
英語リスニング前の休憩時間はもはや体力の限界だった。何せ前日1時間ちょっとの睡眠をとったきり、既に36時間近く起きっぱなしの状態である。そこへ、極度の緊張と重度の集中力の消耗が重なり、頭がおかしくなりそうだった。「ここで倒れたら、私立出願ができん。頼むからもう1時間持ってくれ」と自分の体に祈った。リスニング自体は、配点が低いので、丸々捨てていた。眠れないときに単語帳用CDを馬鹿みたいに聞き流していたので、その耳慣れだけで臨んだ。平均点前後が取れたので、終わってみればひとまず目標点には到達した。
ともかくセンター試験が終わった。会場出口で8月まで自習に通っていた予備校の友人とバッタリ会ったので、近況を報告し合いながら帰った。
(倒れずに)試験を乗り切ったという安堵感と、外の空気がやたらと冷たかったのを覚えている。